【3】京都市の交通
世界の代表的観光都市の交通政策を参考にして、京都市の交通の改善策を考えるというディスカッションのテーマはおもしろいと思います。ただ、参考としてとりあげられたロンドン、バンコク、パリ、ニューヨークは、都市の規模がかなり異なるので、やや問題があります。わたしが見た範囲では、フランスのボルドーとか、ポルトガルのポルトなどが世界遺産の街で、近代的なトラムを整備することによって、観光の活性化に成功している例だと思います。京都市は、自動車の増加による渋滞問題に対応するために、1970年代に市電の廃止と地下鉄建設という政策選択をしました。この選択はその当時は合理的にみえましたが、地下鉄建設コストの急上昇により、京都市の交通事業は構造的赤字体質から抜け出せない状態が続いています。他方、トラムについては、ここ30年ほどの技術向上により、狭くカーブの多い道路でも安全快適に走れるシステムになりました。たぶん、現時点で考えると、地下鉄建設ではなく市電の近代化が、正しい選択であったと思いますが、後の祭りです。



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