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第二回　製品・サービス　
【発表者】　池澤・飯原・露口

◇要旨◇
　―製品―
日本の製品の特徴として「高い品質」、「強い製品開発力」、「価格の安定力」の三つを取り上げた。欧米企業との比較によれば、これらの源泉は日本企業特有の生産システムであり、とりわけ組織と人の側面に依拠していると考えられる。この点を自動車産業を例に挙げて説明した。
近年、生産システムの革新の一つとしてモジュール化の議論が盛んである。一般にモジュール化は米国企業の生産システムによく見られる組織形態に適合性が高く、対照的に日本の生産システムには適合性が低い。しかしながら、国際競争の中で勝ち抜くためにはモジュール化のメリットを享受する必要性は大いにある。したがって、日本企業はいかにモジュール化に対処するべきかを経路依存性の観点から考察した。この点で、1990年代後半に米国自動車産業が「トヨタ生産方式」、あるいは「リーン生産方式」を徹底研究し、その取り入れに努力した事実に、日本企業が学ぶべきところは多い。
　―サービス―
一国経済の成長過程の観点から日本の産業構成を俯瞰すれば、今後、サービス業のプレゼンスは確実に高くなる。そこで、日本のサービス業の今後の方向性を示唆するべく、個別の業界研究を通して現状の把握に努めた。
結論から言えば、日本のサービス業・市場の特徴として次の四つが挙げられる。
①規制が多い　　　　　　　　　　　　　　　　 ②サービスそのものの質は高いが、市場の整備が遅れている
③市場は小さく飽和状態である　　　　　　④新規参入が困難である
ビジネスチャンスを拡大するためには、当該企業のコア・コンピタンスを活用可能な新たな市場セグメントに参入するか、海外市場に参入するかの二通りがあると考えた。しかし、前者は国内の規制の多さから実現が難しく、後者の選択が短期的には妥当であろう。そこで、この点についてサービスの受け手を法人・個人に分けて考察した。具体的な戦略の考察は、ディスカッションと個人の学習に委ねたい。

　　発表資料 ――　発表スライド（製品について・日本の生産システム・日本的生産システムのモジュール化・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本のサービス業の現状）
　　　　　　　　　　　　米国との比較による日本の生産システムの特徴
　　　　　　　　　　　　日本のサービス業の業界別現状（銀行業・ホテル業・ヘルスケア・物流業）
　　補足資料 ――　日本製品の特徴と生産システムのモジュール化

◇ディスカッション◇
「個人向けサービスの例として、日本の美容室が海外へ進出する際の戦略を考えよ。」

日本の美容室は、高所得層をターゲットに、現地人を雇用して事業を進めるのが効率的だと考えた。この時、最大の問題は、現地人従業員の育成と、それを通じた現地でのブランドの確立である。現地でのブランドを必要とするのは美容室だけではあるまい。現地人の教育は、他の個人向けサービス業の海外進出についても、同じように重要だと考えられる。

　　復習資料 ――　日本の美容室の海外進出の戦略について

◇教授より◇
日本企業の製品の強みがどこにあるのか、どのようにして生み出されているのかについて、たいへん説得的に説明が行われました。モジュール化が、この強みにどのような影響を及ぼすかという問題は、企業現場でも、経済学研究でも、現在非常に重要な問題で、様々な議論が交わされています。日本の現場労働者や技術者は、他の先進国よりも、広い職務範囲、広い知識と人的つながりを持っています。モジュール化によって、モジュール内部は担当者以外にとってはブラックボックスになり、見えなくなります。このことがどういう効果を持つかについて、もう一度みんなで議論してもいいかもしれません。またサービスについては、サービスの種類によって状況がかなり異なります。時間不足で、せっかく調べた個々のサービスに関する説明が十分になされなかったのは残念でした。

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