第3回 価格戦略
 今日は価格戦略のうち、低価格戦略が有効となる条件とは何かについて主に議論されました。報告で紹介されたひとつの条件は、需要の価格弾力性と生産コストの生産規模に応じた逓減性とを考慮して、利益を最大化するように価格に設定することでした。もうひとつの条件は「消費者が妥当だと考える価格」を下げすぎないことでした。
マクドナルドの65円ハンバーガーの失敗は、狂牛病などの影響による需要変動に耐えられない水準にまで価格を下げたことにありました。
ディスカッションでは、ユニクロの今後の価格戦略が議論されました。上記の諸条件に則して考えると、低価格を売り物とする競合他社が増えた今日において、ユニクロが価格を下げることによって需要がどの程度増えるのか、また、中国で賃金が上昇している今日において、衣料品の生産コストの低下を実現できるかどうか、を考えてみることが必要です。薄型テレビなどと違って、衣料は技術が成熟した産業であり、技術進歩や大量生産による生産コスト低下はあまり望めません。わたしの推測では、おそらくユニクロは今以上の低価格ではなく、品質やサービスを向上させることにより、顧客を増やそうと考えているのではないでしょうか。社員の正社員化という人事戦略もその一環であるように見えます。



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