第8回 企業不祥事とリスクマネジメント
 企業不祥事には様々なものがあり、分類自体が難しいテーマですが、カネボウ、東横イン、松下電器、雪印というケースの選択は、問題の焦点を限定する上で適切な選択であると思いました。最後の報告で紹介された経済産業省作成の「コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する指針の全体図」という図に照らすと、カネボウと東横インはコーポレートガバナンスに問題があるケースで、松下電器と雪印はリスク管理に問題があるケースです。
 コーポレートガバナンスに関しては様々な制度改正が進行中であり、従来の経営者の独走や密室型経営に起因する不祥事は、今後は減少していくと考えられます。しかし、リスク管理に関する不祥事が減るかどうかは、もう少し考える必要があります。リスクのうち技術的欠陥や人為的ミスは、日本企業では、減っているのではなく増えているような気がするからです。自動車のリコール件数の増大や、ソニーのパソコン用バッテリーの欠陥、最近の松下の電子レンジの欠陥、JR尼崎事故など、日本の生産システム自体が疲弊しているような事例がめだちます。もちろん適切な事後的対応をすれば「不祥事」にはつながらないのですが、事前の予防という役割を果たしていた従来のしくみが、近年崩れているような気がします。



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