第13回 メインバンク
 今日の報告では、丹念に主要銀行の経営データを集めて、手数料収入の比率の変化を検証している点がいちばんよかったと思います。 
 銀行は、先週議論した商社と同様に、情報を生産している企業とみるべきでしょう。貸出先の経営に関する情報や、預金者の資産運用に役立つ情報が、顧客が銀行に支払う手数料の根拠となります。今日の報告で述べられているように、手数料収入の比率が近年上昇し、今後も上昇していくだろうと考えられますが、それは、有用な情報を銀行が生み出し続けることができるかにかかっています。
 そのためには、それができる人材を採用し養成することが必要です。銀行に就職する人も最近多いですが、単なるお金の仲介が仕事ではなく、顧客に有用な情報の生産がメインの仕事であるということを自覚してほしいと思います。もしそれができなければ、手数料引下げ競争や直接金融(株式市場での資金調達)への移行を通じて、銀行が淘汰されていくでしょう。



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