第7回 破壊的イノベーション
今日はクリステンセンの「破壊的イノベーション」という理論が紹介され、それにもとづいて、携帯オーディオ製品の進化プロセスの分析が行われました。プレゼン資料のいくつかの図で示されているように、顧客の求める性能の上昇テンポを、技術革新(イノベーション)のテンポが大きく上回るとき、新たな特色をもった低性能の製品が多くの顧客に受け入れられ、従来の高性能の製品の競争力が急速に失われるという現象が起きます。これをクリステンセンは「破壊的イノベーション」と呼び、10年ほど前にアメリカでベストセラーとなった本『イノベーションのジレンマ』にまとめました。
他の産業の事例もありますが、イノベーションのテンポが速いIT関連産業で顕著な現象です。また、米国では少数の製品に特化した「専業メーカー」が多いので、破壊的イノベーションの影響は、企業そのものの衰退に直結します。日本の電機メーカーは、産業用の重電製品から家電まで総合的に生産する「総合メーカー」という形態をとる企業が多いので、一分野で破壊的イノベーションが起きても、企業経営へのインパクトは限られます。アメリカでベストセラーとなったこの本が、日本ではアメリカほど売れなかった原因はこのあたりにあるようです。しかし、2000年代に入って、総合電機メーカーは「選択と集中」戦略を取っていますので、破壊的イノベーションへの対応もより重要な課題となっています。



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