第4回 購買決定プロセスを利用したマーケティング
今日のディスカッションは、コトラーの第5章「消費者市場と購買者行動の分析」をベースにして、わかりやすく構成されていてよかったと思います。この章ではいくつか重要なことが述べられていますが、そのひとつは図5-3「消費者の意思決定の流れ」です。消費者は、ありとあらゆる商品のありとあらゆる属性を比較して意思決定をするわけではありません。消費者は数個の選択基準を用意して、重要度の高い順にその選択基準を用いて、段階的に候補を絞っていきます。
ディスカッションの例でいうと、第1の選択基準は、アクセス可能性に基づく購入店の選択です。ここでは高齢者は、インターネット店や遠距離に立地する量販店へのアクセスが困難であるということがポイントです。第2の選択基準は、「購入する際に最も重視するもの」というアンケート回答に示されています。高齢者の多くは「使い勝手」を重視するということがポイントです。
このほか、テキストに書かれているように自身の過去の購入経験や他者(とくに準拠集団)の消費行動も、現在の購買決定に影響することも重要です。
これらの消費行動のパターンは、完全には合理的ではありませんが、情報量の限界、人間の情報処理能力の限界という制約があることを前提にすると、よいやり方といえます。このような意味で、消費行動は「手続き的合理性」「限定合理性」に従っているといわれます。



京都大学経済学部宇仁ゼミホームページにて更に多くの記事を読むことができます
http://uniseminar.sakura.ne.jp

このニュース記事が掲載されているURL:
http://uniseminar.sakura.ne.jp/modules/sections/index.php?op=viewarticle&artid=69