第12回 マーケティングにおけるWeb活用
 今日の議論のポイントのひとつはインターネット広告の将来性をどのように評価するかという点でした。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の広告費が減少するなかで、インターネット広告費は伸び続けています。とはいっても、インターネット広告費が広告費全体に占める割合は2007年度で8.6%です。音声や映像の質においてテレビ、ラジオには劣ることや、ターゲットの限定が雑誌などと比べて困難であることなどが影響していると思います。通信技術の発展によって前者の問題は徐々に解決されていくでしょう。また後者の問題を解決する方法として、検索キーワードだけでなく、過去のコンテンツ閲覧履歴などを解析して、個人の関心に適合する広告を表示するシステムも開発されているようです。
 現代の消費ニーズは、個人の内部だけから生まれるものではなく、広告宣伝など、外部の効果に依存して形成されるとガルブレイスは指摘しました。これまでの広告宣伝は主としてマスメディアを媒体として行われていました。ある程度のターゲット化、選別が行われるといっても「マス」(大衆)を相手とする宣伝でした。インターネット広告は、将来、かなり細かなターゲット化や選別を可能にするかもしません。個人の内部のニーズと外部依存効果との結びつきが強まるかもしれません。この点がインターネット広告の決定的に新しい特徴です。



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