第九回 M&A 
【発表者】 山平・仲・芳賀・東

◇要旨◇
M&Aを、買収する側の視点・手段・目的、買収される側の視点・防衛手段・効果、防衛策「ポイズンピル」、M&A事例にわけ発表した。

 ―買収側視点からみるM&A―
まずM&Aについての「企業の合併及び買収を総称して言う」という定義をし、そのM&Aの分類を行った。M&Aの手順を計画→実行→統合→評価にわけ、それぞれにおける目的につい て言及した。その他、法制度、経営支配権、敵対的買収など留意点について言及した。ま たM&Aの目的として、マネーゲーム・シナジー効果・株主価値の向上について説明した。

 ―M&A防衛側の視点―
M&Aが高い失敗率を持つことから、何においてM&Aの失敗とするかという定義を、友好的買 収時・敵対的買収時・買収側・買収される側・統合前・統合後という視点から行った。そ こで大正製薬などの友好的買収時の失敗例、そしてユシロとソトー対象となった敵対的買収の失敗例など、M&Aの失敗の事例を挙げ考察した。ユシロとソトーは「増配」という防 衛手段を行ったが、防衛手段はどのようなものがあり、またそのメリットとデメリットに ついて説明した。

 ―ポイズンピルの変遷と日本での導入―
まずポイズンピルの説明として歴史の説明をし、転換権付優先株式配当プラン・フリップ オーバー型ライツプラン・フリップイン/オーバー型ライツプランという三つの海外のポ イズンピルについて、その特徴とデメリット、失敗例を説明した。日本におけるポイズン ピルとして信託型ポイズンピルについて説明し、その株主平等原則における可否について 言及した。そして日本での導入例とその問題点について説明した。

 ―M&A攻防ケーススタディ―
ライブドアとフジテレビの巻 M&A防衛策とそれに対する買収側の反応が実際にどう薦められるかについて、ライブドア とフジテレビの例を用いて説明した。ここでの防衛策とその反応は、ニッポン放送株TOB →第三者割当増資→差し止め請求申し立て→スコーチドアースディフェンス→ホワイトナ イト→LBO(取りやめ)という順序で行われた。


  発表資料 ―― 発表スライド : 買収側視点からみるM&A M&A防衛側の視点
                      ポイズンピルの変遷と日本での導入 M&A攻防ケーススタディ;ライブドアとフジテレビ
  補足資料 ―― M&Aの定義(予習)

◇ディスカッション◇


  復習資料 ――


◇教授より◇
ゼミで説明されたように実際の数では友好的買収が大部分です。しかしライブドア事件や村上ファンド事件もあり、議論が沸騰しているのは、敵対的買収とそれに対する防衛策に関してです。ゼミの報告で紹介されたような様々な防衛策がありますが、言い換えるとそのことはどれも決定的な対策にはならないことを意味します。敵対的買収を完全に封じ込められない理由は、株式市場というしくみそのものに根ざしています。企業は、資金を長期的に固定される設備に投じて生産を行います。株式は、本来、この長期的に固定される設備に資金を提供したことを示す証書です。この設備が存在する間ずっと、株式を持ち続けなければならないとすると、資金提供者の数は限られてしまいます。資金提供者を増やすために株式市場というしくみがつくられ、いつでも株式を売ることが可能になりました。設備は長期的視点で動かさなければならないのに、その持ち分権である株式は短期的視点で売買することが可能なのです。フジテレビとライブドア、阪神と村上ファンドの争いは、長期的視点にたつ経営者と短期的視点にたつ投機家との争いでした。多くの教訓を残しましたが、そのひとつは、従業員や顧客や世論を味方につけることの重要性だと思います。






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