第4回 競争戦略
 今日は競争戦略がテーマでした。西友の競争戦略に関する西山君の報告が現代の日本企業の典型的なパターンを示していました。つまり高橋さんがまとめてくれた4つの区分でいうと、「コスト・リーダーシップ戦略」を追求する日本企業が最近めだちます。西山君も報告の最後に触れていたように、このような戦略を大部分の企業が採用すると、経済全体では、デフレ・スパイラルと呼ばれる価格と産出量の同時並行的低下が起きます。とくにグローバル化した経済においては、低賃金を求めて生産拠点が開発途上国に移りますので、先進国のデフレ・スパイラルは、激しくなります。
 西山君は、消費者の行動を変えることが必要だと述べましたが、現在の日本のデフレについては、わたしは、生産者とくに経営者が主犯であると思います。1000円以下のジーンズなどは、貧しい国の低賃金・低労働条件に乗じた姑息なビジネスモデルであり、こうした国の賃金が公正な水準になると直ちに成り立たなくなる危ういものです。また、日本国内においても業界の収益性の低下をもたらし自分で自分の首を締めているようなものです。
 低コストの追求は企業として重要な競争戦略のひとつですが、その前提条件として、公正な賃金を支払うこと、適正な収益を確保することは不可欠です。この前提条件を放棄したコスト引下げは、行き過ぎであり、やるべきではありません。



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