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第10回 日本型経営

 「日本型経営成立の背景と特徴」「日本型経営の産物」「日本型経営の今後」という今日の報告は、構成もしっかりしており、内容も高水準でした。今後の方向として、年功制は維持しないが、終身雇用(正確にいうと正規社員の長期雇用)は基本的には維持する、これまでどおり現場力を重視するが経営戦略を反映させるという結論にも、わたしは賛成です。
 ひとつだけ、気になったのは、「日本型」と「欧米型」という二分法です。米英とその他のヨーロッパ諸国との間には大きな違いがあります。わたしの経済英語の授業にでている人は知っていると思いますが、たとえば雇用保証の程度を数値化すると、ヨーロッパ諸国では日本よりも雇用は保証されています。賃金の平等性も、米英とヨーロッパ諸国の間には大きな違いがあります。したがって、日本型経営を修正する方向にしても、米国型の方向と、ヨーロッパ型の方向とはかなり異なります。
 ですから岡野君の報告の「欧米型ダイヤモンド」という図は「欧」と「米」に分けなければなりません。またこの図で、欧米が「実力主義的評価」「自己投資的教育」というのも不正確な表現だと思います。欧米とも「職務給」つまり実力ではなく仕事内容に基づく賃金制度がベースです。また、職業訓練は、ヨーロッパでは中等・高等の公教育体系に組み込まれています。米国では公教育ではありませんが大学院教育が充実しており、技術者や管理者の職業訓練の役割を果たしています。もし日本で長期雇用をやめ、企業内職業訓練もやめるとすると、教育制度と内容を大幅に変える必要があります。
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