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第5回 日本的経営

 日本的経営の特徴、問題点および現状について、よくわかる報告であったと思います。日本的経営と呼ばれる経営スタイルは、直接的には個々の企業の選択結果ですが、選択にあたっては、様々な法制度が影響を与えています。たとえば、解雇規制、賃金交渉制度、銀行業務の規制、教育制度、職業訓練制度などです。日本的経営はこのような制度と一体のものとして存在しており、企業の高パフォーマン スをもたらす首尾一貫性を有していました。
 日本的経営の今後については、大きく分けて二つの問題があります。ひとつは方向の問題であり、もう一つは変革方法の問題です。方向について今日の報告ではヨーロッパ的経営に近づけるべきという見解が述べられました。わたしも同意見です。しかし、アメリカ的経営に近づけるべきという意見も強く、現状では方向は定まっていません。
 どのようにして変えるのかという点については、さらに難しい問題があります。日本的経営を別のものに変えるためには、これらの法制度を同時に一挙に変える必要があります。そのような社会的な合意形成は、日本ではほぼ不可能です。結局、一部の分野の制度改革だけが行われるというのが現実です。それによって制度間の不整合が生じて企業のパフォーマンスの低下を招くという結果も実際には起きています。当分の間、日本企業の経営は模索の時期が続くような気がします。

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