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第9回 消費者行動

今日の報告は消費選択理論からみても興味深いものでした。牧野君の報告の「考える消費」と「感覚消費」は、それぞれ「完全合理性原理」と「手続き的合理性原理(満足化原理ともいう)」にあたります。すべての商品とそれらのすべての属性を比較検討して最もよい商品を選ぶ行動が「完全合理性原理」にあたります。しかし、それには膨大な時間と労力が必要なので、実際の消費選択の大部分は辞書編纂的に行われます。すなわち、まず最優先の属性に関して最良の商品を選ぶ。この基準を満たす商品が複数あるときには二番目に優先する属性に関して最良のものを選ぶ。このような方法で消費者は、短時間でそれなりの満足をもたらす商品にたどりつくことができます。
ただし西山君の報告にあったように、この二つの方法の境界は、インターネットの普及などによって少しずつ変わりつつあることも事実です。
中国のスーパーマーケットに関する西上君の報告では、ウォルマートやカルフールが成功して、日本企業が苦戦している(最も善戦しているイトーヨーカ堂でもわずか3店舗)点が興味深いです。これは消費選択理論の「継承原理」である程度説明できると思います。継承原理とは、現在の消費選択は、過去の消費選択にかなり依存するということです。消費者の嗜好や購買スタイルは、長年にわたって築かれたものであり、それに適合する品揃えや陳列方法をとらないと失敗するというのが、日本でのウォルマートやカルフールの苦戦やダイエーのハイパーマートの大失敗から得られた教訓です。ちょうどこれと逆のことが今の中国でおきているような気がします。
消費選択理論の「手続き的合理性原理」や「継承原理」の説明はラヴォア『ポストケインズ派経済学入門』(まもなく出版されます)の第2章に詳しく書かれています。興味ある人は読んでください。

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